会議録情報
令和元年十月二十三日(水曜日) 午前九時開議
委員長 松島みどり君
法務大臣 河井 克行君
委員 串田 誠一君
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
質疑
○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。
きょうは、河井法務大臣に初めて質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
最後でありますので、いろいろな方の、各議員の質疑、あるいは大臣の答弁も大変参考にさせていただけるわけでございますが、山尾委員からは同性婚の質問がございました。きょうは最初に家族法の質問をさせていただきたいと思いますので、参考にさせていただきたいと思うんですが、これに対して大臣が、婚姻の目的に関しては、子を産み育てるというのが典型的な例であると。抽象的ではあるけれども典型的な例ということでございまして、これは、言わんというのは、例外がないわけではないけれども抽象的にこう言っているんだということでございますが、ただ、昨今、不妊治療だとか、子供ができない夫婦もおりますし、熟年結婚というのもあります。婚姻が必ずしも子を産み育てるということではないということからするならば、山尾委員の言うように、ひどく具体的であるというのも確かだろうなというふうに思いますので、検討はしていくべきではないだろうか。
特に、大臣は所信の中で、新たな時代に対応する民事法制、これを積極的に、果敢に攻めていくんだということでございますので、今の時代がどういうふうに対応しているのかということも耳を傾けていただきたいと思うんですが、きょうは、その後の、離婚後の共同親権についてちょっとまず最初にお聞きをしたいと思います。
日本は、御存じのように、北朝鮮と日本と、あとわずかな国以外はほとんどが共同親権、G7も日本だけが単独親権でありますし、G20でもトルコと日本だけが単独親権で、あとは全部共同親権であるというようなことで、諸外国から大変批判も受けておりますし、ことしの二月には国連の勧告があった、昨年の三月にはEU二十六カ国から抗議文が出されているというような状況の中で、離婚後に単独親権にしているというのは、まさにひどく強制的であり、ひどく人権を軽視しているのではないかと私は考えているわけでございます。
越智委員からの質問に対して、大臣は、子は国の宝だ、将来を担うんだというふうにおっしゃられていますし、浜地委員からは、国交、安全保障をずっとやっていらっしゃって、法の支配が大事であるということも共通項であると思っておりますが、子供の養育に関しては、子どもの権利条約、一九九四年に日本も批准しているわけです。これに対して、国連が、違反しているよ、法改正しなさいと言っているわけでございまして、所信の中には、声なき声を拾うというのも、大臣、書かれているわけです。まさにゼロ歳から一歳なんていうのは、子供はもう声も出せない中で、唯一、大人が子供を守るために子どもの権利条約を批准し、そして、国連もまたこれに非難をしているという中では、やはり日本もまた新たな民事法制というものを考えていかなければいけないのではないかというふうに思っています。
山下前法務大臣が二十四カ国の調査を開始していただいて、バトンタッチをされ、河井法務大臣になられてからは、就任直後に研究会の立ち上げというものも鮮明にされております。
今、国連に非難され、そして、子どもの権利条約、まさに子供は国の宝だとおっしゃられる大臣としては、この単独親権制度、憂慮しているという認識でよろしいんでしょうか。
○河井国務大臣 丁寧にお答えをさせていただきたいと思います。
今御指摘いただきました児童の権利委員会、ことしの二月に、父母による児童の共同養育を実現するために勧告がありました。今御指摘いただいたとおり、離婚後の親子関係について定めた法令を改正するとともに、子供と離れて暮らしている親と子供との定期的な人的関係及び直接の接触を維持することを確保すべきであると。いわゆる面会交流といったことを含まれているというふうに思いますけれども、これにつきましては、今、串田委員が御指摘をされたとおりでありまして、真摯に受けとめたいというふうに考えております。
そもそも、父母が離婚した後であっても、お子さんにとっては、父母のいずれもが親であることに変わりはありません。よって、一般論といたしましては、父母の離婚後も父母の双方が適切な形でお子さんの養育にかかわることは、子供の利益の観点から非常に重要であると考えております。
現行法のもとでも、家庭裁判所は、特段の問題がない限り、面会交流を認める運用をしているものだと承知をいたしております。
さまざまな御意見、現場感覚ということを繰り返し御答弁申し上げておりますので、しっかりと耳を傾けていきたいと考えております。
その上で、今もおっしゃっていただいた研究会、この研究会での検討に私は強く期待をいたしております。父母が離婚した後、子供の養育のあり方に関しましては、普通養子制度や財産分与制度などを含めた見直しの検討のため、商事法務研究会におきまして研究会が立ち上がるということを会見などでも申し上げておりますけれども、私としては、年内、できれば十一月中にこの研究会を立ち上げていただきたいというふうに期待をいたしております。
法務省として、この研究会に担当者を派遣して、積極的に議論に参加をしてまいりたい、そのように今考えております。
○串田委員 ありがとうございます。
一方で、これまでの政府の単独親権を採用している理由としては、DVがある、あるいは高葛藤で、なかなか共同による協議というものが調わないということを挙げられているんですね。
私なども、共同親権を促進すべきだというふうな立場で質疑をさせていただきますと、DVの被害者の方々から大変な批判を受けているわけでございます。
ただ、私は、これは、DVの対策は十分に行わなければならないということは当初から申し上げているわけでございまして、共同でこれを行うということは、そういうことができ得るような状況になっていなければならないわけでございますので、この対策は十分政府はとっていただきたいというのが私の立場でございます。
ですから、子どもの権利条約を守らない政府に対するいろいろな国民の声というものがあるわけで、それに対して政府が、DV対策ができていないからと言うのはおかしいと思うんですよ。
なぜならば、子どもの権利条約を批准したのは一九九四年ですから、もう二十七年もたっているわけで、その間ずっと子供の権利というものを守られていない、諸外国からも批判されています。まずは、DV対策ができていないんだったら、それをしっかりとやっていかなければならないのを、それを放置していたのではないだろうか。それを、政府が言いわけをするというのは、これは非常におかしな話なのではないかと思うんですが、大臣、この点についてはいかがでしょうか。
○河井国務大臣 共同親権の議論につきましては、国民のさまざまな皆様から、関係者の皆様から意見が出されているということは、十分承知をいたしております。
よって、近々のうちに発足する予定の研究会におきまして自由闊達な議論が起きるということを強く期待をいたしております。
○串田委員 それと、先ほど大臣が、現場での柔軟な対応、法律の改正というのがちょっと先になりますから、柔軟な現場での対応というのも大事だと思います。そういう意味で、日本の裁判官が、この子どもの権利条約を批准しているんだということの意識というのがどれほどあるのかというのが、私、大変疑問になっているんです。
家庭裁判所で今ビデオが流されていて、面会交流をうまく行っている子供というのは長い目で見れば幸せになっていくんだというようなことをビデオでさんざん流しているんですね。ところが、この問題について争いが生じると、今の裁判官は、一月に一回、二時間ぐらいの面会を認めるケースというのが非常に多いわけですよ。一月に一回なんです。
そして、その面会を認めてもらう側というのが別居親ということなんですが、御存じのように、今、国際的にも子供の連れ去りというのが非常に問題になっています。ここも、連れ去りというのを言うと、DV被害者の方から、いや、しようがないんだ、緊急避難なんだとおっしゃられる。そういうケースは間違いなくあるんだという前提の中で、そうでないケースも多分にありながら、その中で、継続性の原則というのがちまたに言われているんですけれども、法律用語ではありません、要するに、現在の状況を維持するということを裁判官はとりがちなんです。ですから、子供を連れ去った側が有利になってしまうというのが現状にはこれは間違いなくあるんだと。これを否定してもしようがないんです、現実にあるんですから。
そういうことを、裁判官は、それはよくないよと。これは、民法七百六十六条には協議して定めると書いてあるわけですから、離婚をするときに。これは、単独親権ですから、本来は協議して一人に定める必要もないんですけれども、今の現行民法は、協議して一人を定めるしかないんです。協議して定めるときには、やはりフェアな状況でなければならないと思っているんですけれども、子を連れ去られてしまうと、協議をする過程の中で、子供に面会をしたいがために、いろいろな条件を全てなげうって、もう月に一回でもいいから、二回に一回にするよ、三カ月に一回にするよと言われるんだったら、月一回でもいいからのむよというようなフェアではない状況が続いているというのも、大臣、認識していただきたいと思うんです。
子の連れ去りに関して、これは、アメリカの、ハーグ条約との関係で実施法を前回の国会でつくりましたけれども、これは、条約だけの問題じゃなくて、国内においても、やはり監護者は平等であるべきであって、片方が連れ去ったことを有利にしてしまってはいけないというふうに私は考えているんですが、大臣、お考えをお伺いしたいと思います。
○河井国務大臣 ハーグ条約につきましては、条約を審議したときの、私は衆議院の外務委員長を当時務めておりましたので、諸外国からのさまざまな要請など、十分認識をしておりました。
日本に居住する外国人の中には、婚姻して子供をもうけた後に、配偶者が子供を連れて出ていったために子供と離れて暮らすこととなっている方もいると。また、その逆もそうであります。
今いろいろと串田委員から具体的なお話、そして状況について情報提供していただきました。それぞれの御家庭、離婚した後の御家庭、それぞれの事情がそれぞれあると思います。ですから、一律に考えるのではなくて、まずは、先ほど申し上げました近々のうちに発足する予定の研究会、ここにおきまして、さまざまな立場の方々が集まって自由闊達に議論をしていっていただきたい。
共同親権の必要性について強く認識している、そういう御意見があることは、私は、社会の中にあることは十分承知をいたしております。そういったことを含めて、また一方で、共同親権にしたということで、それでさまざまな問題が解決するわけでもない、そういった議論もあります。そういったさまざまな多様な意見というものを、ぜひこの研究会の場で自由闊達に議論をしていただきたい。その行方をしっかり注視をしていきたいということであります。
○串田委員 所信の中に、多文化共生社会というようなことがありまして、今、子供と会えない外国人の質問もしようかと思っていたんですが、大臣がそれについても今お答えいただきましたので、この質問は省かせていただきたいと思います。
きょうは、所信に対する質問ということで、いろいろな取組について概括的にちょっと質問させていただきたいと思っているんですが、次に、児童虐待についてお聞きをしたいと思います。
各委員からも、これについては質問がありました。そして、この児童虐待に関してはおおむね各党ともに異論はないと思うんです。私も全く異論はありません。児童虐待を防止するということで、広くそれについてアクションを起こしていくというのは大賛成なんです。
ただ一方で、こういうようなことが起きますと副作用があるということも認識していただきたいんですね、大臣に対しても、しっかり知っていただきたいと思うんですが、現在におきましても、児童虐待ということの通報があって、子供が児童相談所に一時保護されていくわけです。これは児童福祉法の三十三条に規定がありまして、これは児童相談所長の判断で一時保護できるんですね。
そうすると、二カ月間子供を保護することになるわけですけれども、保護といいましても、混合処遇といいまして、非行児童とも一緒に、何十人も同じ場所に保護されていくわけですね。外にも出られない。友達にも連絡ができない。場合には親にも会えない。そういう中で、保護といいながらも拘束状態になるわけです。
そして、義務教育を受けている子供に対して、じゃ、学習ができるかというと、何十人もいる中で、いろいろな学年の子供たちが入りまじっている中で、学習なんか、なかなかこれはできないわけですよ。
何が言いたいかといいますと、児童虐待を、保護するためということで間口を広げていきますと、本来保護すべきでないような子供も中にはやはり含まれていくということは十分あり得るわけです。
これは通報ですから、今は一番通報が多くなってきているというのは、児童相談所長にもお伺いしましたが、警察からの通報が非常に多いんですね。その中には、夫婦げんかというのがどんどんふえてきているんです。子供の前で夫婦げんかをするというのは面前DVということで通報があって、通報があると児童相談所に行って、そして一時保護されていくんです。今、だから、夫婦が言い争いを子供の前ですると、外から通報があると子供が連れ去られるというのが非常にふえてきているんですね。
ただ、この言い争いも、本当にけんかなのか、本当に子供にとって面前DVになっているのかどうかというのも、子供から見れば普通に思っている場合もあるでしょうし、そんなふうにして二カ月も拘禁されてしまうというようなことは、子供の人生にとっても大きな影響になると思うんです。ですから、強化するのは大事だけれども、その後の検証というものが必要ではないだろうか。
国連の二月の勧告の中にも、司法の介入のないままの児相の保護に関しては問題であるという指摘が国連からもあるんですね。アメリカも、第三者機関というのがすぐに入るようになっている。ところが、日本は、児童福祉法三十三条は戦後の戦災孤児のためにつくられた法律であって、親を捜し出すこともできなければ、それが正しいかどうかなんということを検証するような余裕もない中での時代につくられた法律が、改正されないまま今まで来ているという経過がありまして、それを強化するということになると、これを検証するということもあわせ持っていただかないといけないんじゃないか。
先ほど高木委員が、たたかうという文言をこだわられましたけれども、私も別な意味で、これは、児童虐待とたたかうというと、児童虐待の、保護をどんどんどんどん強化するだけになってしまうというふうになりそうなイメージがあると思うんですが、それに苦しんでいる子供や親御さんというのがたくさんいるんですよ。
誤報による通知によって一時保護されて、二カ月ですからね。二カ月間、親にも会えない、友達にも会えないというと、もう神隠しみたいな感じなんですよ、その子供にとってみると。戻れと言っても、それはなかなか戻りにくいというのもあると思うので、この検証関係に関してはしっかりやっていただくということを大臣としても約束していただけないでしょうか。
○河井国務大臣 法務省において、児童虐待とたたかうプロジェクトチームを設置をしますということを公にいたしまして以降、本当に、思っていた以上の多くの方々から貴重な御意見を承っております。
私のフェイスブックやブログにも多くの書き込みをいただきました。あるいは、さまざまな機会、その中には、同僚の国会議員、いろいろな方々がこの問題について真剣に考え、そして悩み、そしてまた何とか今のあのひどい悲惨な状態を打ち破っていきたいということで皆さんが強い関心を持っていただいているということ、改めて強く実感をいたしております。
その中で、今、児童相談所による一時保護について指摘をしていただきました。
これは、一義的には厚生労働省においてガイドラインが作成されておりまして、子供の権利擁護の観点から一時保護の目的を達成したときは速やかに一時保護を解除するとされています。
その中で、また、今委員が御指摘されたように、児童相談所に実際に入った、一時保護されたお子さんたちの状態についても、今言われたようなことを含めて、貴重ないろいろな御意見、そして情報というものを伺っております。
繰り返しになりますけれども、このたたかうプロジェクトチームにおきまして、これまでの法務省の取組あるいは所管にとらわれず、自由で柔軟な発想から幅広い検討を行うこととしておりますので、今、串田委員が御指摘をされた点も含めて、現行制度が十分であるか否かも含めて、法務省としてどのようなことができるか、しっかりと検討してまいりたいと考えます。
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