会議禄情報
令和二年二月六日(木曜日)午後一時 本会議
○本日の会議に付した案件
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
議長 大島理森君
内閣総理大臣 安倍晋三君
日本維新の会 議員 串田誠一君
質疑(抜粋)
○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。
所得税法に関し、党を代表して質問いたします。(拍手)
NISA制度の見直しと延長について質問します。
つみたてNISAを五年間延長し、一般NISAを別枠の非課税投資にできるようにするとともに五年間延長するとしています。
金融庁は定年後の投資の参考としてNISAを提案しました。年金以外にも資金を活用する手段として、NISAの利用による資産形成の支援策を勧めるのであれば、NISAは五年間の延長ではなく恒久的な制度にすべきようにも思います。
そこで、総理に質問します。NISA制度を恒久的な制度にしない理由は何でしょうか。また、大学入学のための費用をつくることに利用されてきたジュニアNISAが二〇二三年末で打ち切られる理由は何でしょうか。お答え願います。
本法案では、一定のベンチャー企業への出資に対し、その株式の取得価額の二五%相当額の所得控除を認める新しい法人税制をつくろうとしています。企業の内部留保が投資に回らない現状に対し、大企業の内部留保の放出とスタートアップ企業への支援の両方を狙った税制であると捉えています。
総理に質問します。この新しい制度による経済効果はどの程度であると予測していますか。お答え願います。
5G導入促進税制について質問します。
5Gの導入については、アメリカや中国に比べておくれをとっています。5G導入促進税については、自民党税調が税額控除額を九%としていたところを、安倍総理の強い指示で一五%にまで拡大したとも報じられています。
総理に質問します。5G導入の税制控除額を九%から一五%に拡大することによる効果をどの程度と見込んでいますか。お答え願います。
一月二十一日に公表された日銀の経済見通しでは、十月時点の経済見通しと比べて、実質GDP成長率で〇・二%見通しを上げました。しかし、その後に起きた新型肺炎がもたらす経済への影響は十月時点では考慮されておらず、経済成長を阻む要因として大きいのではないでしょうか。
国際通貨基金、IMFのゲオルギエバ専務理事は、新型肺炎は世界景気に短期的に減速をもたらす可能性があると発言しています。また、春節後の上海の株価も大幅に下落しています。感染拡大への対策とともに、経済への影響も最小に食いとめなければなりません。
総理に質問します。新型肺炎がもたらす経済への悪影響に対し、政府としてどのような手を打つことを考えていますか。お答え願います。
最後に、一人親家庭の税制上の措置について質問します。
一人親家庭における子供は貧困になりがちであり、税制上の支援は必要です。婚姻歴があるかどうか、男性か女性かは問わないのは、むしろ当然です。
ところで、日本は世界と比較して極めてまれな単独親権の制度を採用している国です。G7では日本だけ、G20ではトルコと日本だけですが、トルコも最高裁主導のもとに共同親権へと移行しつつあります。現時点では、単独親権は日本と北朝鮮ぐらいになりつつあります。残念なのは、どちらも世界から、拉致を放置する国と思われていることです。各国で日本が子供の権利を守らない国として番組が作成され、閲覧されていることで、日本国民より他国民がこの事情をよく知っているというのが実情です。
親が子供を連れ去ることを英語ではアブダクションあるいはキッドナッピングと表現します。文字どおり、拉致又は誘拐です。国が制度として単独親権を強制するため、片方の親が子供の親権を確保しようとして連れ去るのです。
二〇一八年、米国は日本をハーグ条約不履行国と指定し、昨年の二月には国連から共同養育に法改正するよう勧告され、六月の大阪G20では、安倍総理が直接、イタリアのコンテ首相、フランスのマクロン大統領から連れ去りをやめるよう要請されたと聞いております。ホスト国が苦言を受けるのは大変異例なことではないでしょうか。
子どもの権利条約は、共同養育を規定しています。単独親権は、正面から、共同で養育する条約に反していると言わざるを得ません。
昨年、予算委員会では、安倍総理は、共同親権採用の可否に関する検討を法務省に指示し、研究会が設置されるなど、これまでの政権にない取組を開始したことは評価いたします。しかし、スピード感が足りません。昨年末から、欧州や豪州などの外務省が日本への渡航に、日本は子供の権利を守らない国として注意喚起を始めました。大変恥ずかしいことです。オリパラまでに各国の外務省の注意喚起を取り下げるべく努力していただきたいと思います。
なお、フランスでは、日仏の子供に関し、実子誘拐という抗議をする決議を、日本時間の本日未明、フランスの上院議会で三百四十票の満場一致で採択されたことを申し添えておきます。
言うまでもなく、つらい思いをしている一人親を支援することは賛成です。一方、国が条約を守らないために親権を得られなかった親が支払う養育費についても、国として何らかの措置を検討すべきであると考えます。
十六歳未満の子には児童手当が支払われるからと、扶養控除が認められていません。夫婦と子が同居しているときには児童手当が家計に入ることも、理解できます。しかし、日本は、独特な親権制度により、離婚によって子供との面会も極めて少なくなった親の支払う養育費は、十六歳を境にして額を変更する例は余りありません。共同養育を定めた子どもの権利条約を守ることが先決ですが、それまでの間、養育費の支払いを確保するためにも、離婚に伴う養育費の支払いには、十六歳未満であっても扶養控除を認めていく考えはありますか。総理にお尋ねいたします。
日本が批准した子どもの権利条約を誠実に遵守すべきなのは、憲法九十八条二項にも規定されていることです。日本維新の会は、声なき声を大切にする政党として、子供の権利を今後も守っていくことを国民にお誓いし、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 串田誠一議員にお答えをいたします。
NISA制度の見直しについてお尋ねがありました。
千八百兆円を超える家計金融資産のうち半分が現預金で占められている中、家計の安定的な資産形成を進めていく上では、長期、積立て、分散投資を促していくことが重要です。
NISA制度は、期限を区切って貯蓄から投資へという動きを後押しするために創設された制度であり、今回、つみたてNISAについて期限を五年延長し、一般NISAについても、現行制度終了後、新たな制度に見直した上で更に五年間の投資を可能としております。
ジュニアNISAについては、利用実績が乏しいことなどから、延長せずに二〇二三年末に終了することとしておりますが、今回行ったNISA制度の全体としての延長により、経済成長に必要な成長資金の供給を促すとともに、人生百年時代にふさわしい家計の安定的な資産形成を支援していくことができると考えております。
オープンイノベーション促進税制による経済効果についてお尋ねがありました。
足元で、事業会社によるベンチャー投資は、米国が年間三兆円程度、中国は一兆円余りであるのに対し、日本では二千億円ほどにとどまっています。
他方で、日本企業が有する現預金は六年間で五十兆円増加しており、今回の税制によってそれらを社外のベンチャー企業への投資に振り向けるよう強力に促すことで、我が国のベンチャー投資額を世界水準並みに向上させ、成長力の強化を図ってまいります。
5G導入促進税制についてお尋ねがありました。
5Gがもたらす変革は、経済のみにとどまらず、安全保障を始め社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、今後、国際戦略として取り組んでいく考えです。
令和二年度税制改正では、我が国経済社会や国民生活の根幹をなす5Gを早期に普及させる観点から、超高速大容量通信等を実現する全国基地局の前倒し整備を支援するとともに、地域活性化や地域の課題解決を促進する観点から、地域の企業等がみずから構築するローカル5Gの整備を支援するため、安全性、信頼性が確保された5G設備の導入に対し、一五%の税額控除などの思い切った減税措置を講じます。
これにより、安全性、信頼性、供給安定性、オープン性が保証された5Gシステムの構築及び早期の普及が図られるものと考えております。ポスト5G、更にその先を見据えながら、ソサエティー五・〇時代のイノベーションを主導してまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応についてお尋ねがありました。
まずは、水際対策の強化や、国内の検査体制や相談体制の充実、拡大といった蔓延防止対策を徹底するなど、国民の命と健康を守ることを最優先に、やるべき対策をちゅうちょなく実行してまいります。
さらに、今回の新型ウイルスをめぐっては、観光を含めた地域経済などに大きな影響をもたらし始めており、こうした影響についても十分に目配りし、政府として万全の対応をとってまいります。
養育費の支払いの確保についてお尋ねがありました。
離婚した一人親家庭の生活の安定と子供の健やかな成長のため、養育費の確保は重要です。
このため、これまで国や自治体などにおいて養育費の取決めを促すための情報提供や養育費に関する相談支援の実施といったさまざまな取組を行ってきたところです。
御指摘の十六歳未満の子に対する扶養控除は、児童への手当拡充に伴って平成二十三年に廃止されたものですが、仮に、離婚をされた方で養育費を払っている方について、十六歳未満の子への扶養控除の適用を認めることとした場合、その子の養育に当たっては手当と控除の両方で配慮することとなり、離婚していない父母の子については、控除はなく、手当のみとなっていることに対して、公平の観点から問題があり、慎重に検討する必要があると考えています。
今後も、引き続き、養育費の取決めの促進やその履行の確保に向けて、必要な検討に努めてまいります。(拍手)
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