第201回国会 衆議院 財務金融委員会 第3号 令和2年2月14日 串田誠一委員

会議禄情報

令和二年二月十四日(金曜日)午前九時開議

委員長 田中 良生君

財務大臣 国務大臣(金融担当)麻生 太郎君

 政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) 辺見  聡君

委員 串田 誠一君 

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 財政及び金融に関する件

質疑(抜粋)

○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 財務省のホームページを開きますと、一番最初に「これからの日本のために財政を考える」、そういう見出しが出まして、クリックすると「はじめに」というのが出てきます。そこには、大きく赤い字で、「次世代に明るい未来を残すため、わたしたちが今、何ができるか一緒に考えてみませんか?」という書き出しになっておりますので、きょうは麻生大臣と一緒に考えてみたいなと思うんです。

 野村克也さん、偉大な野球選手が亡くなられまして、野村さんが一番好きな言葉の中に、財を残すは下、職を残すは中、人を残すは上、こういう言葉を一番大切にしていたという話を聞いております。ここの財務省のホームページにも、「次世代に明るい未来を残すため、」ということで、人のために財政というのがあるんだ、そのために一緒に考えるんだということを財務省はホームページで書かれているのかなと思うんです。

 麻生大臣にお聞きをしたいんですけれども、財務、要するに、財政再建化、そして健全化、再生、これを両立をするということを所信でも述べられていますが、財政というのは人のためにあるというふうに麻生大臣も考えておられるんでしょうか。

○麻生国務大臣 経済、まあ財政と限りませんけれども、経済の方が全般的な話だと思いますので、財政と絞られたような話をしておられるんだとは思いませんので。

 人の生活に必要ないわゆる財貨とかサービスとかそういったようなものの、生産したり分配したり、また消費したりする活動、そういう全般に向かっていわゆる経済というんだと思いますけれども、それを通じて得られる社会関係という中で、やはりそこをやっているのは人間ですから、その人間を抜きにした議論というのはなかなか成り立たぬのじゃないですかね。

○麻生国務大臣 経済、まあ財政と限りませんけれども、経済の方が全般的な話だと思いますので、財政と絞られたような話をしておられるんだとは思いませんので。

 人の生活に必要ないわゆる財貨とかサービスとかそういったようなものの、生産したり分配したり、また消費したりする活動、そういう全般に向かっていわゆる経済というんだと思いますけれども、それを通じて得られる社会関係という中で、やはりそこをやっているのは人間ですから、その人間を抜きにした議論というのはなかなか成り立たぬのじゃないですかね。

○串田委員 まさにそのとおりだと思うんですが、日本を例えば大きな企業として考えた場合、財務省は経理だとか総務というのを担当するのかもしれませんし、外務省は渉外だとか広報ということになるのかもしれません、法務省は法務部ということにもなるのかなと思うんですけれども、そういう中で、大きな企業が一番神経をとがらせている部分が、この日本という大きなものの中には非常に欠けているものが二つあるんじゃないかなというふうに私は思っております。

 一つは、日本のブランドイメージであります。もう一つは、今、麻生大臣がお話をされたように、人のやる気。こういうものに対して、日本の企業というのは、企業ブランドがあるいはイメージが、この前、バイトテロというのがありましたけれども、一遍に企業イメージというのは下がって、購買力も下がってしまう、付加価値も下がってしまう、そういうことがありますので、大企業というのは、非常にそういう点も注意を払って、イメージというものを向上させようと非常に努力をされていると思うんです。また、社員のやる気というのも非常に意識をしている、これによって企業というのは潜在的な能力を引き出すこともできるんじゃないだろうかなというふうに思うんです。

 日本の場合、私はずっと子どもの権利条約を取り組んでいるんですが、本会議でも、一人親家庭の税制改正に関してお話をさせていただきました。二月の六日には、フランスの上院議会が三百四十票の満場一致で日本の実子誘拐を抗議する採択をし、そして今度、二月の十九日には、欧州議会で、子供の連れ去り、奪取に関する審議が行われております。そして今、オリパラに合わせて、昨年の暮れから、ドイツやイタリア、フランス、そういったような国々が、オーストラリアも入りました、海外渡航、子供の権利を守らない国だから気をつけて行きましょうと。オーストラリアは、日本に行くときには弁護士に相談してから行きましょう、こんなホームページが書かれるようになっているわけです。

 こういうような、日本に対するブランドイメージが非常に悪くなっていくということに関しては、日本全体としてもう少し気をつけて、改善に向かっていかなければならない。それは、日本の対国際競争という意味でも、非常に経済的にも大きく私は影響すると思うんですが、麻生大臣、こういうイメージというものが経済に影響を与えるかどうか、麻生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

○麻生国務大臣 何を言いたいんだか、よくわからないんですけれども。おっしゃりたいのが、よく意味が見えてこないんですが、いわゆるEUの話をしておられるんだったら、これは所管外ですから、外務省にも聞いていただいた方がいいと思いますね。

 それから、私どもとして、一般論として申し上げさせていただければ、国際社会の中で、日本というのは結構高い信頼を得ている方だと思いますね。少なくとも、日本人に連れ去られた子供の話をしておられましたけれども、この条約を締結してから、五年ぐらいたつと思いますけれども、その間で日本に連れ去られた子供というのが外国に送還された例というのは、三十九件か、調べて知っているでしょう、何件あったか。三十九件ぐらいありませんか。そういったものは結構高い評価を得ていると思いますけれどもね。

○串田委員 全く違うと思いますよ。

 ここでは、そういう細かいことは法務省でやらせていただいていますけれども、欧州の子供の誘拐の数が、欧州では、九九%が日本の国内で行われているというのが欧州としての認識なんです。麻生大臣、そういうふうにおっしゃられるのであれば、ぜひ欧州会議のホームページをごらんいただきたいと思うんです。今度の二月の十九日に、会議が行われているんですけれども。

 現在の自殺者の割合についても通告をさせていただいているんですが、婚姻歴のある現在の単独者の自殺割合というのは高いとお聞きをしていますが、この点についての数字上の状況はどうでしょうか。

○辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年版自殺対策白書によりますと、平成二十九年において、未婚男性の自殺死亡率、これは配偶関係別の人口十万人当たりの死亡者数をいいますが、これは三十三・四、有配偶者の男性の自殺死亡率は十七・八であるのに対しまして、配偶者と死別した男性の自殺死亡率は五十三・三、配偶者と離別した男性の自殺死亡率は百九・三となっており、配偶者と死別又は離別した男性の自殺死亡率が高い状況にございます。

○串田委員 麻生大臣は経済とは関係ないんじゃないかという指摘をされたんですけれども、こういうふうに、男性というのは、離別した後、現在、日本は単独親権制度であります、三組に一組が今離婚している段階の中で、子供に会えない父親というのが非常にふえているというのが現状でありまして、それに対して大変苦にして自殺をしている人も多いというのは、私の周囲にも聞いております。

 これが、必ずしも、子供と会えないから自殺者が非常に多いというふうに即断することはできないのかもしれませんが、有配偶者で子供と一緒にいられる割合が、三十歳の割合だと、十万人当たり十一・六なのに対して、離別した場合は百三十三・六と、極端に、十倍以上ふえているということで、これが、日本に限らず、欧州の人、あるいはアメリカも含めてですけれども、離婚によって子供に会えない、それで自殺になっていくというのは究極的な選択だと思うんですが、そこまでならないまでも、仕事に集中できないというような状況が今三組に一組の割合で生まれる可能性が非常に出ているわけですよ。

 だから、そういう意味での、経済を活性化させようという部分の中では、国民の意識というものを高めるという観点、もちろん、関税がどうだとかいろいろGDPがどうだとかという数値的なのはあるけれども、内部的な、人間として、人を残すという観点からするならば、経済だけではなくて、人が幸せになっていくというようなことをトータルで考えていかなければならないんだろうなとは思うんですけれども。

 経済に関係がないとおっしゃられますが、最近、子供のこういうことに関して一向に日本が改善を見せないということで、戦略的パートナーシップも見直そうじゃないかというのが欧州でも今意見が出ているというようなことなんですけれども、これに関してコメントをいただけないでしょうか。

○麻生国務大臣 財政金融委員会にいるんだと思って今聞いていたんですけれども。

 離婚した夫婦の話のように言っておられるんですけれども、離婚の原因とか、それから面会の交流とか、その後の親子のあり方、これは親の受けとめ方というのは、これはいろいろでしょう。よかったという人もいるだろうし、大変だという人もいるだろうし、いろいろおられるんだと思いますよ、私の周りを見ていても。

 だから、そういった意味で、今のお話で、働く気の話やら何やらは、これは別に離婚していなくても働く気があったりなかったりいろいろしますので、これはなかなか一概には言えぬような話で、ちょっと今のここにお尋ねのことに一概にお答えするということは極めて困難なんだと思いますけれども。

○串田委員 ぜひ、麻生大臣も、その点についてもう少し取り組んでいただけるとありがたいなと思うのは、どういうことかと申しますと、今、育児というのもありますけれども、結婚中は、企業も、育休とかイクメンとかというのがあるんですよ。

 ところが、離婚になると、日本は、今、世界的に言うと、日本と北朝鮮ぐらいが単独親権なんですね。国が強制して一人だけを親権者に選んでしまうわけです。ですから、今まで婚姻中でずっと子供を、育児を担当していたのが、国が強制して一人だけを育児者として指定するという制度になって、これは世界的には、今、日本と北朝鮮ぐらいになってしまっているわけです。そういうような、今の仕事の中身自体もかなり大きな影響を受けているということを、やはり財政面からも考えていただく必要がある。

 あと、年金の問題も財政的なことであると思うんですが、子どもの権利条約を守っていないということが今回の欧州議会の大きなテーマなんです。子供の権利を守っていないのに、子供に今のこれからの日本の年金を担わさせるというのは、これはちょっと子供にとって気の毒じゃないだろうか。子供の権利を守ってあげないと、年金を支えていく子供がこれから大人の年金を支えるんだから、せめて子供の権利は守っていこうじゃないか。

 麻生大臣も、子どもの権利条約を批准はしているけれども遵守していないというのは、予算委員会で森法務大臣が、真摯に受けとめているという回答をされました。子供の権利を守っていないというのは、世界的には指摘されている事実なんですよ。その子供に年金を担わさせるということに対して、麻生大臣、これは麻生大臣としての御意見もお聞きしたいと思います。

○麻生国務大臣 これは父母の離婚後の子の養育のあり方ということなんだと思いますけれども、これは民法を所管している法務省において現在検討がされているんだと理解しております。

 今、公的年金制度ということでしたので、これは、現役世代が負担する保険料とか税というものによって高齢者世代を支えるという助け合いの仕組み、これは賦課方式ですから、そういった意味で、これを基本としておりますので、そのような意味では、現在の子供や将来世代というものに納得してもらうことが重要なのであって、そのために、その負担が過重とならないようにしていくということが重要なんだと思っておりますので、負担という点が一番問題なんだと思っております。

 そのような観点から、少子高齢化が進んでいきますので、将来世代の負担というものを軽減して、社会保障全体の制度を持続可能なものにするということが重要なのであって、給付と負担の見直しということを始めとする改革というものは、我々としてはきちんと実現していかなきゃならぬところだと思っております。

○串田委員 だから、子供に、賦課方式というお話でありましたが、それを納得してもらわなければいけないというのは私もそのとおりだと思うんです。

 納得してもらうという前提の中で、今、日本は、子どもの権利条約を批准しているのに守っていないという状況がある、子供の権利を守っていないのに、その子供に大人の年金を支えさせるということ自体、虫がよ過ぎやしませんかということを言っているんですよ。

 それだったら、せめて、子どもの権利条約を批准したんですから、日本は一九九四年に。それを守っていないと去年国連からも指摘され、これから欧州議会でも審議がなされている、そして森大臣もそれは真摯に受けとめていると言っている。そういう子供たちに年金を支えてもらう、そして、財務省は、次世代の明るい未来を残すと言っているんですから、今できることは何ですかと問われているので、今できることは子供の権利を守ることじゃないですかというのを、私は、財務省のホームページに書いてあるから麻生大臣にお聞きをしているんです。そうじゃないんでしょうか。

○麻生国務大臣 重ねてお答えしますけれども、これは法務省の所管の話なんでして、私どもが直接しているわけではありませんので、お答えのしようがないと思っております。

○串田委員 まさに法務省のことではありますよ。だけれども、年金を支えているのは子供なんだから、財務省としても、子供に、賦課方式で承諾をするには、子供の権利を守らせなければだめなんじゃないかと内閣で考えていただきたいんですよ。

 それは、縦割りだから財務省は関係がないというふうに麻生大臣はお考えなんでしょうか。

○麻生国務大臣 おっしゃりたいことはわからぬでもありませんけれども、法務省の所管の法律の話を財務省があれこれ言う立場にはないということを申し上げております。

○串田委員 平行線といいますか、麻生大臣に何かこうやってほしいという、財務省でできるかということではないんですけれども、要するに、今の日本は、大企業として考えた場合には、いろいろな意味で内閣がトータルに物事を考えていないと、日本のブランドもかなり地に落ちている、そして内部では子供の権利が守られていない。それが、所管として縦割りだからあっちでやってくれ、こっちでやってくれじゃなくて、全体的な意味合いの中でそれを考えていかないと、年金問題も子供が支えるんだから、子供の権利を守るというのは、財務省からも法務省との間で協議をしていただきたいというふうに私は思っているんですけれども、この点については平行線ですので。

 麻生財務大臣にも、ぜひとも、所管は違うかもしれませんが、子どもの権利条約を守っていないということは、この「次世代に明るい未来を残す」という財務省のホームページとして、縦割りだけではこれは解決しないんだということ、これを御指摘をさせていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。


親子引き離し問題会議録

現在日本で横行している親権独占を目的とした子どもの連れ去りや、その後の親子断絶強要の社会問題について、議会質問の議事録を保存、公開しています。 *2020.1月より開始、前年秋の臨時国会から少しづつUPしていきます。

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